プロフェッショナルSalesforce導入コンサルタント 山口 純平の視点
こんにちは。前回の「Sheet」の活用手法はいかがでしたでしょうか。Salesforceの活用で日々悩まれている方々に色々とヒントがお渡しできていれば幸いです。では、そういった方々に更に具体的な事例を交えながら、今回もお話しさせていただきます。
取引先が移転した場合
セールスフォースを日々活用の中で顧客管理は多くの方が利用されている事と思います。それらを使うには、まずは顧客情報の登録から始まるわけですね。登録するには、お客様から名刺をいただき、それを各自であったり、営業事務の方が一括で登録されたり、はたまた名刺管理ソフト等を利用して、登録されていることだと思います。
ただ、取引先の移転があった場合はどうされていますか。取引先の住所は誰かが一つ修正すれば事足ります。では取引先責任者の住所はどうでしょうか。新規登録時は、取引先の住所が自動的にコピーされますが、取引先を修正しても自動では、取引先責任者には反映されません。一つずつ開いては修正の繰り返しか、データローダー等で対象データを引っ張り出し、EXCELに落とし、チェックし、修正し、書き戻す、と言うのが一般的かなと思います。これって、実は結構手間ですよね。
では、「Sheet」がある場合はどうでしょうか。下の画面の様に、コピー&ペースト(コピペ)で素早く修正が出来るというわけです。
まずは、取引先責任者と取引先の住所を同列(一行)で、表示をさせます。その上で取引先の任意の住所項目(郵便番号や、都道府県等々)をコピー、それを複数の取引先責任者の住所項目にペースト。最後に保存をすれば、終了。これだけです。
配置が終われば、変更掛けたい部分を確認し、取引先の任意のセルでコピー、取引先責任者の任意のセルを複数選択しペースト。これを繰り返し、最後に保存を押すだけ。これで、簡単に移転に伴う住所データの変更が出来ます。いかがでしょうか、簡単でしょ。
ちなみに、取引先の住所データは先に修正を掛けておいてくださいね。
商談管理の場面で
月も中旬になると、受注予定の案件を今月クロージング出来るのかどうなのかは営業会議で討議するのは営業の場面でよくある話だと思います。商談を使い、セールスフォースのレポートやダッシュボードで見える化を進めていることも多いと思います。しかし、どうしても今月に入らず、来月にずれるとか、商談のフェーズを全体的に見直すこととかは、よくあることです。これらは通常、商談を一つずつ変更して行くか、ビューで変更して行くかが必要です。ビューで変更できるとは言え、一つずつダブルクリックしながら、更新していくのは少なければ、それほど手間じゃないでしょうが、10件以上変更しようという場合どうでしょうか。
そんな時にでも「Sheet」があれば大丈夫です。
例えば、商談の一覧を「Sheet」で見れば、こんな感じです。カラフルに見やすく表示を設定することも可能です。これらの設定方法については前回のブログをご確認ください。
では、完了予定日が今月(2016年8月)のものだけを表示しましょう。完了予定日の項目の右クリックから、期間を設定。
そうしますと、完了していない商談が多数あることがわかります。
流石に、これを全て来月商談にするのはしのびないので、ある条件によって、次月にスライドするかどうかを決めましょう。例えば、判断基準は年間売上が10億円以上の取引先か否かでとしてみましょう。商談金額等の商談内の条件ではなく、親の項目である取引先で判断することが出来るのが、「Sheet」の特徴です。つまり、レポートの様なデータの検索性にビューに似た操作性と言うか、EXCELライクな操作性で一括処理ができるというわけです。
「列を追加」から、取引先をクリック、年間売上の項目を選択し、登録。更に年間売上を降順でソートすると、こういった表示に。
この中から、売上10億円をしきい値として、完了予定日を変更して行くかどうかを判断し、実際完了予定日を修正していけばOKと言うわけです。本来やるべきことは、データを時間をかけて一つ一つ変更処理するのではなく、時間は抑えて変更し、残った時間で案件をどう追っていくべきかを考えることに当てる。本来あるべき姿に近づけることが出来るというわけです。いかがでしょうか。
明細データが多数ある項目の場合
更に、明細データが大量にある項目の場合はどうでしょうか。標準オブジェクトで言うと、商品の様な項目です。商品は結構、その辺りの使い勝手はよく、画面もそれ様に作られています。では、月ごとに請求をたてるとか、日別に請求をたてるとか、カスタムオブジェクトを作成していた場合はどうでしょうか。専用の入力画面を開発されていたら勿論問題ないわけですが、費用面等で画面は特に作成されてない、しかし、大量のデータを修正しなければいけない。そんな場合、一つ一つ修正していては、埒が明かないのでしないでしょうか。
そんな時に、三度「Sheet」の登場です。
例えば、100万円の商談を受注したが、一括請求ではなく、20万円を5回とか分割で請求をたてることがあると思います。その場合は、各月で20万円請求をたてるための管理項目をカスタムオブジェクトで作る場合があると思います。下の様な項目ですね。請求日、請求額であったり、入金済みがどうかを判断するよう項目を設定しています。今回、入金があると入金日を入れると、ステータスが入金済みとなるようなワークフローを組んでいます。勿論、一つずつ商談をあけ、この対象項目をあけ、入金日を入力すれば処理が進むのですが、大量に入金処理をすべきならば、一つずつではやり切れませんよね。請求済みのデータを拾い出し、一気に月末処理が出来れば、こんな楽なことは無いです。
まず対象の内一つに入金確定日を入力。後は、実際に入金済みの項目に同様に入金確定日をコピペして、最後に保存をするだけ。どの請求に対しての入金なのかの突合せは必要ですが、入力だけは最低限でOK。こういう風に経理の場面でも、またカスタムオブジェクトの項目でも使用できます。
一週間の行動実績を登録する場合
スケジュール面もセールスフォースで管理されている場合もあると思います。とは言え、2、3件ならばいざしらず、毎日10件もの訪問を行ない、個々に面談内容を記入するって結構手間ですよね。
再度登場するのが「Sheet」です。
活動の項目を配置し、一気に記入していけると、何か仕事が出来るようになったと思いませんか。まあそれは錯覚なのですが、本来すべきことは面談内容を整理し、次につなげる動きを具体的にどうするかを考え、行動に移していくことです。
色々な局面での「Sheet」の活用事例を説明してきましたが、一貫して出来る限り入力時間は抑えて、本来すべき行動に時間配分を変えていくところ。考える時間であったり、分析する時間であったり、一つでも多く営業したりと。入力面が少し手間な部分を、「Sheet」で補っていくと。そういう使い方が出来るアプリだと思います。是非、ご活用されていく上での材料にしていただければ幸いです。
今後も「Sheet」はお客様の要望により、機能アップを続けていくとのことです。そうですので、その機能のアップがした時にでも、またお会いできれば。長々とお付き合いいただき有難うございました。
【執筆者】
Mashmatrix Sheet 導入・活用支援パートナー
株式会社ギミックプロジェクト 山口 純平
ハウスメーカーにて商品企画、経営コンサルティング会社にて経営・営業支援、設計事務所にて営業マネージャー、新事業企画責任者を経て、クラウドコンピューティングの定着支援を専門に行なう株式会社ギミックプロジェクトを2013年に設立。エンドユーザーとしてクラウドを活用していた身として、その時と変わらないユーザー目線で様々な活用方法のご支援を行なう。