【こんなことはありませんか?】
- オブジェクト/権限/シートごとに、操作するレコードの件数上限を設定したい
- 情報の漏洩リスクを低減させるために、データのコピーやダウンロードの件数を場面ごとに制限したい
【バージョン33.0で追加された新機能を使うと…】
- 一度に操作できるレコード件数の「上限」を設定できる
- 一度に操作できるデータの件数を、オブジェクト/権限/シート単位で制限することで、利便性を保ちつつ安全性も高められる
Mashmatrix Sheetでは、これまでもユーザごとにアクセス制御を設定し、オブジェクトや項目単位で操作のオン・オフを細かく管理することができました。
2024年12月にリリースされた、Mashmatrix Sheet 33.0では、レコード操作に対して「一度に処理できる件数」を制限する機能もあらたに加えることにより、より安全性を高め、状況に応じた柔軟な運用が可能になっています。
本ブログでは、この新機能の概要と設定方法について詳しくご紹介します。
※ 以下の記事も合わせてお読みください
【よく分かる解説】ユーザごとにMashmatrix Sheet利用時のアクセス制御ができるようになりました
https://www.mashmatrix.co.jp/blog/access-control-31-0-release
レコード操作の上限値設定について
シートの設定および管理コンソールのアクセス制御設定において、レコード操作ごとに操作の上限値を指定することが可能です。
上限が設定可能な操作の種類:
- レコードの新規作成
- レコードの更新
- レコードの削除
- レコードのダウンロード
- クリップボードへの大量一括コピー
上限値を超えたレコード数での操作が行われた場合にはエラーが表示され、対象操作が制限されます。
権限ごとにレコード操作の上限値を設定することで、特定のユーザに対してレコード操作を制限することが可能になります。
シーン別活用例
Scene 1. ユーザごとにレコード操作の上限値を設定する
管理者は無制限の操作を可能にして、一般ユーザにはレコードの作成や削除に上限を設ける
Scene 2. 操作ミスによる大量レコードの削除を防止する
作業を依頼した担当者が誤って大量の顧客データを削除しないように、権限ごとにレコード削除の上限値を設定する
Scene 3. 情報漏洩防止のためのコピーとダウンロードを制限する
大量データのコピーやダウンロードの上限を制限することで、不要なデータを外部に持ち出すリスクを減らす
設定方法
今回は、契約管理者とセールスサポートメンバーのカスタム権限を作成して割り当てている状況を例として、具体的な上限値の設定方法について説明します。
下図のように「契約管理者」と「セールスサポート」のカスタム権限を作成し割り当てている状況です。
※ カスタム権限割り当ての詳細は、過去のブログ記事をご覧ください
【まる分かり新機能①】より詳細なアクセスコントロールが可能に!2パターンの設定方法をご紹介します
https://www.mashmatrix.co.jp/blog/access-control-settings/
このような状況で、契約管理者は、利便性を重視するため、50件まで一括削除できるようにして、
セールスサポートメンバーは、誤って多くのレコードを削除しないように、同時に10件までしか削除できないようにしたいと思います。
設定は以下のような流れで行います。
- 準備として「組織のデフォルト」権限でレコードの削除権限を無効化
※ ここでは、すべてのユーザに紐づく「組織のデフォルト」権限を、最も制限が強い設定にします - 「契約管理者」カスタム権限のレコード削除上限を50件に設定
- 「セールスサポート」カスタム権限のレコード削除上限を10件に設定
- 対象シートの設定でレコード削除が有効なことを確認
1.準備として「組織のデフォルト」権限でレコードの削除権限を無効化
(a) 管理コンソールにアクセスできるユーザでログインし、管理コンソールにアクセスする
(b) 「アクセス制御」をクリックして、アクセス制御ページにアクセスする
(c) 「組織のデフォルト」権限でのレコードの削除を無効化する
(c-1)「組織のデフォルト」権限を選択していることを確認する
(c-2) 「レコードの削除」チェックボックスを外し、「適用」をクリックする
2.「契約管理者」カスタム権限のレコード削除上限を50件に設定
(a) 「契約管理者」カスタム権限を選択する
(b) 「レコードの削除」チェックボックスを有効にする
(c) 「操作の詳細設定」をクリックし、表示されるダイアログの「レコード削除数」の「上限」に「50」を入力し、「完了」 → 「適用」をクリックする
3.「セールスサポート」カスタム権限のレコード削除上限を10件に設定
(a) 「セールスサポート」カスタム権限のレコード削除上限を、2.と同じ手順で「10」に設定する
4.対象シートの設定でレコード削除が有効なことを確認
(a) 対象のシートを開く
(b) シートの「設定」 > 「オプション」タブにおいて、「レコードの削除」が有効になっていることを確認する
(c) 「操作の詳細設定…」に進み、「レコード削除数」が「上限なし」になっていることを確認する
※シートに操作上限値が設定されている場合、権限の上限値と比較して、より制限が強い方が適用されます(詳細は「レコード操作の上限値の適用ルール」項をご参照ください)
設定完了後
セールスサポートでログインすると、下図のように10件より多いレコードを一度に削除できません。
一方、契約管理者でログインすると、下図のように10件より多いレコードを一度に削除することが可能です。( 50件より多いレコードは一度に削除できません)
補足
今回は作成したカスタム権限に上限値を設定する方法をご紹介しました。
さらに、オブジェクト単位で設定することも可能です。
ここでは、「商談」オブジェクトにおける上限値設定を例に説明します。
管理コンソールの「オブジェクト単位のアクセス制御」を有効化すると、オブジェクトごとの設定を行うテーブルが表示されます。
テーブルの「商談」の行 >「詳細設定」 > 「操作の詳細設定を編集」をクリックします。
ダイアログが表示され、見出しに「商談」と表示されているので、商談オブジェクトの上限値を設定できることがわかります。
ダイアログ内部の入力欄から、上限値の詳細を設定できます。
レコード操作の上限値の適用ルール
レコード操作の上限値設定は、管理コンソールおよびシート設定のオプションタブから設定することが可能です。それぞれ設定可能な項目は以下の通りです。
これらの設定が組み合わさった場合、操作許可と上限値に基づいて、最終的な操作の制限が決定されます。
以下は、管理コンソールとシート設定において、複数のアクセス制御設定を組み合わせた場合、レコード操作がどのように制限されるのかを説明しています。
シートと管理コンソールの両方でアクセス制御設定がある場合
オブジェクト単位のアクセス制御設定が有効な場合
ユーザに複数の権限が割り当てられている場合
レコード大量コピー操作の制限について
レコードの大量コピー操作では、組織設定の「大量一括コピー権限を必要とするレコード数」のしきい値を超えるレコード数までは、他の設定に関わらず無条件でコピーが可能です。
「大量一括コピー権限を必要とするレコード数」に100を設定した例
まとめ
いかがでしたでしょうか。これらの設定を活用することで、ユーザごとの業務要件に応じた柔軟な制御が可能になります。一方で、複数のアクセス制御が組み合わさることで、運用ルールが複雑化する可能性もあります。
そのため、以下のポイントを意識することが大切です。
- 目的と制限範囲の確認:「誰に、何を、どのように制限するか」を明確にしましょう
- 優先順位を把握:どの設定が最終的な制約を決定するかを理解しておきましょう
- 事前の確認:運用を始める前に、設定が意図通りに機能しているかを確認しましょう
レコード操作の上限値を設定することで、安全性を高めながらも、ユーザに合わせた柔軟な運用が可能になります。ぜひ実際の業務にご活用ください!
Mashmatrix Sheet の最新バージョン(Release 33.0)については、リリース資料をご確認ください。
参考:
Mashmatrix Sheetのアクセス制御を使いこなそう!
https://www.mashmatrix.co.jp/blog/access-control-settings2/